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わかば対談。 2007.10.16更新

Vol.3 はじめての、さのもとはる。

はじめての、佐野元春。

佐野元春 × りえさん

  • 佐野元春
    佐野元春(さのもとはる)プロフィール
    1956年生。1980年、EPICソニーよりメジャーデビュー。常に時代の先を行くポップ・センスと、ストーリー性の強い詞世界で人気を博している。
  • りえさん
    りえ プロフィール
    高校1年生。BUMP OF CHICKENを聴いて、バンドと作詞に目覚める。ヴォーカルとギターを担当。文化祭の後夜祭メインステージで歌うのが夢。

音楽を愛している、音楽とまじめに向き合っている。大人と子供という、ふたりの“ミュージシャン”が対談します。音楽的キャリアも、年齢も違うふたりがフラットな関係で語りあう。それが、「わかば対談」なのです。

最近では母校の立教大学でポエトリー・リーディングについての講義を持ち始めた、現役のロックンローラーでありつつ「先生」でもある佐野元春さん。今回のわかば対談は、そんな佐野さんに高校1年生のりえさんがお話を伺いました。りえさんはバンドを組んで3ヶ月、1ヶ月後の文化祭のステージに向けてドキドキ。佐野さんはそんなりえさんに、自分が音楽を始めたきっかけ、中学や高校のときの思い出、そして創作の秘密までを惜しげもなく語ってくれました。さてさて「わかば対談。」はじまります。

佐野元春 × りえさん

「メンバーと友人であることが良い音楽を生むということですね。」(りえさん)

りえ(以下、り):1ヶ月後に文化祭のステージを控えて、今からドキドキしているんです。失敗したらどうしようかなとか……。佐野さんは、最初のステージのことを覚えていますか?

佐野(以下、佐):プロになってから初めてのライヴは、横浜のもみじ坂を上っていったところにある小さなところでした。とにかく一生懸命演奏したことだけを覚えていますね。一生懸命すぎて、お客さんの顔は一切見られなかった。まだ余裕はなかったけれど、ただ来てくれたお客さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思っていました。それだけが心のなかに強くあった気がするな。

り:緊張しましたか?

佐:ものすごく緊張しました。僕はあまり目が良くないんだけれど、プロになりたての頃は、わざとコンタクトをしないでステージに上がっていたんです。お客さんがよく見え過ぎないようにね。一年くらい経って、もう大丈夫かなと思ってコンタクトをしてステージに出たら、やっぱり緊張した(笑)。でも、ステージに出る前に、バンドメンバーがみんなで手を合わせて、今日も良いステージにしようと約束をするようになったんですね。一種のおまじないみたいなものかな。それから、徐々に緊張しないようになってきた。ステージにいるのは僕だけじゃない、仲間たちと一緒にいるんだ、と思えるようになってきたからね。

「バンドというのは小さなさざ波を作ること。バンドは波動なんだよ。」(佐野元春)

り:バンドの始まりの頃、苦労したことや感動したことはありましたか?

佐:うん、いろいろあったよ。僕らは音楽を始めたばかり、これから旅を始めようってところだったんだけど、その途中には確かにいろんなことがある。がっくりすることやつらいこともあるし、みぞれが降れば向かい風が強いこともある。でもしっかりした絆という意味のバンド、仲間がいれば、それは絶対に乗り越えることができるんだ。そしてそれを乗り越えた時には、必ず感動があるよ。これはバンドというもの、音楽というものの持つ醍醐味かもしれない。

り:バンドという絆、ですか。

佐:そう。僕はいつも一緒に居てくれるバンドを作って、日本中いろんなところに行って演奏したんです。そのうちに、人間同士として、バンドとしての絆が深まってくる。音楽というものは、演奏がただうまい人が集まっただけでは良い演奏にはならないんだ。やっぱりバンドの仲間は、友人であり、絆であり、それこそが良い音楽を作りだすんだと僕は信じている。お互いをリスペクトし合い、そこから生まれてくる友情や絆、それが音楽になるんです。デビューしてから一年、二年と一緒に過ごすことで、バンドの音はどんどん良くなってきましたね。

り:友人であるということが良い音楽を生むということですね。

佐:その通り。だから、他の演奏者が何を感じているのかを探ること、よく見ること、聴くことが大切なんだ。バンドというのは合奏だから、息が合えば合うほど、1+1が3にも4にもなる。お互いに何を考えているのかを思いやりながら、時にはアイコンタクトをしたり、ゴキゲンに笑い合ったりしていると徐々に息は合ってくる。これは相手をリスペクトするという精神にも繋がってくるよね。練習の時は、メンバー同士がお互いアイコンタクトをとれるようにするといいかもしれない。みんなで向かい合ってね。

り:すごく参考になります!

佐:楽器を弾くということは、勇気を出すことと同じだと思うんだ。間違ってもいいから、失敗を恐れず勇気を出して弾いてみる。これは何の楽器でも同じだよ。もしかしたら間違えるかもしれないけど、それでも僕を見てほしい!と思う気持ちがなによりも大切なんじゃないかな。バンドがゴキゲンに演奏していれば、そのグルーヴとかヴァイヴレーションは、必ずお客さんに伝わるから。バンドというのは波を、小さなさざ波を作ることなんだ。その波は会場の隅々にきちんと伝わっていく。バンドというのは波動なんだよ。