本文へジャンプします。

MOOCS TOP > マガジン > 「わかば対談。」 > 「はじめての、佐久間正英。」


わかば対談。 2007.8.27更新

Vol.2 はじめての、さくままさひで。

はじめての、佐久間正英。

佐久間正英 × けいすけ君

  • 佐久間正英
    佐久間正英(さくままさひで)プロフィール
    1952年生。元四人囃子のベーシスト・PLASTICSのキーボーディスト。BOØWYやGLAY、JUDY AND MARYなどを手がけた名プロデューサー。
  • けいすけくん
    けいすけ プロフィール
    1992年生まれの中学3年生。ベースを弾き始めて半年。テニス部所属。好きなバンドはRADWIMPS。甘いものには目がありません。

音楽を愛している、音楽とまじめに向き合っている。大人と子供という、ふたりの“ミュージシャン”が対談します。音楽的キャリアも、年齢も違うふたりがフラットな関係で語りあう。それが、「わかば対談」なのです。
今回対談するのは、最近ベースを習いはじめたばかりという中学3年生のけいすけくんと、佐久間式とも呼ばれる逆アングルピッキング奏法で多くのフォロワーを生み出す、元・四人囃子のベーシストであり、数々のアーティストを手がける名プロデューサーでもある佐久間正英さん。実はけいすけくん、対談当日緊張でガチガチだったそうです。そんなけいすけくんをさりげない優しさで受け止める佐久間さん。全く違うふたりには、実は共通する話題がありました。それは“お兄ちゃん”の存在。さてさて「わかば対談」、はじまります。

佐久間正英 × けいすけ君

「お兄ちゃんのギターが、かっこいいなと思ってベースを始めました。」(けいすけ)

けいすけ(以下 け):初めまして。けいすけです。

佐久間(以下 佐):はい、初めまして。佐久間正英です。

佐:けいすけくんはミュージシャンを目指しているんですか?

け:はい!

佐:うーん、やめたほうがいいんじゃないかなあ(笑)。

け:(ガクッ)え……。

佐:まあ、それは後でお話ししましょう。けいすけくんは、どうしてミュージシャンを目指したいと思ったの?

け:お兄ちゃんがギターをやっていて、かっこいいなと思ったのがきっかけです。佐久間さんが音楽を志したきっかけはなんだったんですか?

佐:実は僕も、兄がもともとギターをやっていて、僕より上手かったんだよ。いや、今も僕より上手いかもしれない。

け:僕といっしょだ。

佐:そう、いっしょだね。けいすけくんはいつ音楽を好きになったの?

け:やっぱりお兄ちゃんが音楽を聴いていることに影響を受けて、という感じです。佐久間さんが音楽を好きになったきっかけはなんだったんですか?

佐:僕が音楽に目覚めたのは、2歳のときだったね。今もはっきり覚えているんだけど、ベートーヴェンの『運命』を聴いて、音に合わせて光が見えるような経験をしたのが始まりです。音に合わせて指揮するように手を振ると、その光が手についてきたのを覚えているよ。

け:すごい……。楽器はすぐに始めたんですか?

佐:そうだね。まずピアノかな。一ヶ月間くらいしか習っていないんだけど。でも、なぜか弾けちゃったんだ。最初に鍵盤を見て、両手で弾くことができたのを覚えてる。キーはCマイナーだったかな(笑)。

け:じゃ、音楽の成績はずっと良かったんですか?

佐:(笑)良かったよー。ずっと“5”でした。

け:僕、“3”なんです(笑)。

佐:(笑)よし、これからがんばろう! でもね、実際のプロミュージシャンと音楽の成績ってほとんど関係がないよ。一流のミュージシャンであっても、音楽の成績は悪かった人が多いんじゃないかな。

け:そうなんですか?

佐:そう。楽譜が読めない人も多いしね。

け:そうなんだ!

佐久間正英 × けいすけ君

「楽器の演奏というのは、自分の身体をどう使うかということなんです。」(佐久間正英)

け:となると、佐久間さんはバンドに練習の方法も教えたりするんですか?

佐:もちろんしますよ。

け:僕にも演奏が上手くなるコツを教えてください!

佐:(笑)いいですよ! そうですね……、いろいろとあるんだけど、一番大事なのは、音楽の演奏というのは物理的なものだということです。もちろん音楽は考えとか感情とか、そういう観念的ななにかを表現するものであるんだけど、演奏自体は、あくまでも物理的なものなの。つまり、肉体と楽器を制御する技術なんですね。

け:え〜と。

佐:(笑)ちょっと難しかったかな。あのね、楽器の演奏というのは、つまり、自分の身体をどう使うかということなんです。それじゃ、実際に一緒にやってみようか(ベースを取り出す)。

け:はい!(ベースを取り出す)

佐:うん、じゃ、最近練習しているものを弾いてみてもらえる?

け:(テレながら)はい……(弾き出す)。

佐:(聴き終わって拍手)なるほど、基本に忠実で優秀なプレイヤーですね。

け:ありがとうございます(まだテレてる)。緊張しました。

佐: そうだな、それじゃあ、どこから直そうかな(笑)

け: えっ?

佐:いやいや、上手ですよ、ホントに。だけどちょっと変えるともっとよくなる。まず弦の押さえ方をちょっと変えてみようか。指の腹を使わないで、もっと指先を使って、指を弦に対して直角に近づけて弦を押さえてみましょう。指の腹を使って押さえると弦がチョーキングされちゃって、音程が不安定になるんだ。

け:なるほど……。

佐:そしてもうひとつ、ピッキングの仕方ね。ピックを弦にこするんじゃなくて、きちんとピックを弦に当てて弾いたほうがいい。音が大きくなるでしょ。ピックが弦に当たる瞬間にピックに力を入れて、弦を弾く。

け:これって、佐久間さんの“逆アングル・ピッキング”ですか?

佐:そう言われちゃっているんだけどね。でも、この弾き方のほうが本当は普通なんです。パンク・ロックが出てきてから、弦をこするようにピッキングする人が増えて、逆に僕のような弾き方が珍しく感じられるようになったみたいだね。

け:へえ〜。

佐:そしてもうひとつ、僕の立場から必ず言わなければならないのは姿勢ですね。楽器を弾くときは、姿勢をきちんとしたほうがいい。楽器は長い時間練習するものだから、姿勢が悪いと身体をこわしちゃうからね。けいすけくんは一日にどれくらい練習をしてますか?

け:3時間くらいかなあ。

佐:それだけやれるんなら大したものです。僕も、中学生の頃が一番楽器を練習したかもしれないな。でもね、そんなに練習していたら、音楽以外のことをするヒマがないんじゃない?

け:え……。