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the verve
89年イギリスで結成。95年2nd『A Northern Soul』のリリース後に、RichardとNickの確執により解散。その後なんとか関係を修復したバンドは、97年ついに名作アルバム『Urban Hymns』をリリース。その中に収録された「Bittersweet Symphony」はUKロック史に残る名曲として世界中で非常に高い評価を受け、98年ブリット・アウォードでは、ベスト・グループ/ベスト・アルバム賞を獲得。99年再びRichardとNickの関係悪化により解散。Richardはその後ソロ・アーティストとして活躍していた。そして07年、 Simon Tongをのぞく4人で再結成。新作のリリースもアナウンスされる中、SUMMER SONIC 08のヘッド・ライナーに決定、ついにTHE VERVEとしての初来日公演が実現する。
絵に描いたようなRockの「道」

UKのカリスマに名高いTHE VERVEをこの目で見届ける為、私は幕張メッセからマリンステージへ競歩の如く激しい足取りで向かっていた。せかせかせかせか。やばい。あと15分で始まる。せかせかせかせか。期待と焦りで心拍数は最大。自分史上最速の移動を実現させた結果、ようやくRエリアの入場口が見えた。あとちょっとだ。その瞬間!
「Excuse me?」
振り返ると、困惑した表情の外国人女子二人が、「トイレはどこ?」と私に助けを求めている。
捕まった!
説明している余裕がなかったので、とりあえず二人を連れて、急いで入場口から反対方向へ引き返した。
聴けば彼女たちは大のRichardファンで、「彼は世界で最もセクシーな男性の一人よ。」と目を輝かせていた。オーストラリアからはるばる日本まで追いかけてくるなんて!彼女たちの心意気に胸打たれた。
凄いじゃないかTHE VERVE。凄いじゃないかサマソニ。 案内を終え、笑顔できびすを返そうとしたそのとき、「待って、一緒に見よう」と持ちかけられた。溢れんばかりの笑顔と4つの青い瞳。
きっとこれも何かの縁、私は快諾し、彼女たちを待った。もう時刻はスタートの5分前を回っていた。 「お待たせ!」
ダッシュで出口まで走りながら、とりあえず途中で確認。
「ところで、あなたたちの入場口はR?L?」
「多分、Rよ。」それを聞いて安心した。
息を切らしながらRエリアの入場口に到着。会場内から歓声が沸き起こるのが聞こえる。うわ、始まった!「Hoooooooooo!!!!!」我々のテンションも最高潮に達したそのとき! 「Stop!!」
捕まった!
スタッフが、彼女たち2人に「君たちはLエリアです」と指導している。そんな!
心の底から落胆の声を上げ、手を握られた。泣きそうな二人にハグされる私。そして、「あなたのおかげよ」と感謝を告げられ、後ろで確実にメンバーが登場にしたに違いない大歓声が起こっているのに、何故か記念写真まで撮影してしまった。短い友情だったけど、全てTHE VERVEのおかげだ! 「またね!」そして二人はLサイドへ。私はアリーナ前方へと一目散に駆け出す。
そして、ようやく目に飛び込んだ光景は、待ちかねたTHE VERVEの神々しい姿!
THE VERVEって、本当にいるんだ。そう思った。これは夢なんじゃないか、ビデオライブなんじゃないか、と目を疑った。
だけど、響いてくる音は、CDでは聴いた覚えのない、繊細で透き通ったROCK。マリンステージは球場だから、周りが壁に囲まれているけれど、THE VERVEの音はどこまでも伸びていく気がした。ここが何処とか、今何時とか、過去のつまらないこととか、そういうのを全部忘れ去らせてくれるくらい、身体の中に響き渡る。
周囲の観客も、静止して棒立ちしている人が多かった。あまりにも完璧な空気。
感動に震えながらも、「彼は世界で最もセクシーな男性の一人よ。」といっていた先程の彼女の言葉が頭の中でエコーしていた。まさに共感した。あの咽仏は犯罪だ。そんなことはどうでもいいか。そう、咽。思い出した。Richardは咽の病気だったらしい。だけどそんなことは臆する必要もないくらい、この日は丁寧に、のびのびと歌っていた。
「Bitter Sweet Symphony」で会場はひとつに。まるで噴水が吹き出すような曲の始まり。ストリングの音に混じってRichardの声が降ってくる。構成はいたって単調な曲なのに、あんなにも重みある曲に成るのは何故だ。繰り返すほどに重みを増すのは何故だ。すごく気持ちいい曲だ。
しかしあの日、最も私たちの心に焼きついたのは、なんといってもあの場面しかない。
「The Drugs don't work」の曲の途中で、突然Richardが「Fuck」と叫んで、突然演奏が停止。歌詞を間違えてしまったようだが、なんと、驚いたのは、「もう一度聞きたいか?」と我々に投げかけ、もう一度初めから演奏を再開させたこと!
ブーイングをしているファンなんて一人もいなかった。
気の短いバンドだったら、ギター投げ捨てて、そのへんの機材でも蹴っ飛ばしてステージ裏に帰っちゃうことだって全然有り得るだろうに、あの場で、一度下がってしまった空気の中で最初からやり直すなんて、よっぽど勇気のいることだ。
アーティストとして、非常に素晴らしい人だ、と感じた。観客への誠意、音楽への敬意。そんな彼らのゆるぎない姿勢を見た気がした。ミスはミスかもしれないけど、かっこよすぎる。演奏を再開しても、何事もなかったかのように、再び丁寧にひとつひとつのフレーズを奏でていた。だからこそ観客は大喜びで彼らを受け入れた!
オーストラリアからきたあの子達も、さぞかし感動しただろうなと思った。
カッコイイのはルックスや楽曲だけじゃないんだ。根本的なもの、人間性だ。絵に描いたようなRockの「道」。誰も真似なんて出来ないけど。これがTHE VERVEなんだ。
そう強く感じられたliveだった。ああいいものみた。
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