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ギターの街…………と言えば、お茶の水。
オレンジ色に輝く中央線を乗り継ぎ、俺はこの街に着いた。
悠々と流れる神田川を横目に見ながら
俺はいくつもの楽器店が並ぶ坂道を下った。
…………アポなどない。
おのれの嗅覚だけを頼りに、一軒の店に飛び込む。
連載第一回目にもかかわらず、店名に輝く「part2」の文字はご愛嬌。
いずれ、part1も制圧してやるつもりさ、「お茶の水シモクラセカンドハンズ」。
ともかく、俺はこの店に一番高いギターを弾くためやってきた。

あくまでも挑戦的な態度で、
飾られた無数のギター群を睨みつけてやった。
果たして。
そんな俺の眼前にひとりの男が立ちふさがる。
並々ならぬ俺の殺気に気づいたのだろう。
年の頃は三〇代中盤とおぼしき彼の名は、
木本広喜………………このお店の店長さん。
肩まで伸びた髪が、ロック魂を感じさせる男。
果たして俺は、そいつをじろりと睨みつけ、…………言ってやった。


男は語り出した……。
木本 「いわゆるレプリカですね」
―― えっ? レプリカ?
木本 「はい、2006年製ですから……」
―― えっ! そんなに新しいんだ
木本 「えぇ。雰囲気、パーツ、塗装の変化なんてのが忠実に再現されているんですよ」
―― へぇ……(と、まじまじ見つめる俺)
木本 「昔から憧れの楽器でしたからね、フェンダーのストラトなんて。
最近は、僕なんかと同世代のお客さんが多いです。
つまり、いわゆる…………昔やっていた人たち。
80年代、ハードロックギターに憧れた世代ですね。
当時、欲しかったギターを今、買う! って人多いんですよ」
―― むぅ……俺もその世代だ
木本 「正直、うちのお店はそんなにバカ高いギターは置いてないです。
必ずしも、高いかっていったらそうでもない値段でしょ」
―― 確かに……
木本 「でもね、ギターの魅力って、
値段ではないのかもしれませんよね。
確かにレプリカではあるけれど、
これって当時は手の届かなかったもので……、
なんて言うのかなぁ、”夢”なのかなぁ。
ずーっと憧れだった気持ちって、すごくよくわかるんですよ。
……うん、いいギターだと思います。
ともかく、これがうちで一番高いギターなんです」
愛おしそうにギターを抱え、キッパリと言う木本。
かつての、ロック少年の面影が……一瞬、見えた気がした。
果たして、
そんな木本に、俺は……言わねばならない台詞があった。
なぜなら、俺はそのために、この店に来たのだから。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【25万9千円のスモーク・オン・ザ・ウォーター】
俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」/ ディープ・パープル
…………当然だ。
ちなみに追記すると、
これは使用許可申請中でありJASRACも了解済みのプレイなのだ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
最後に、俺は木本に尋ねた。
「ところで、あんたがはじめてガツーンときた曲は?」
彼は答えた。
「ヴァンヘイレンのジャンプです」
そいつはいい曲だ。
果たして、俺の旅は…………まだまだ続く。

取材協力:
御茶ノ水 シモクラセカンドハンズPART2
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-4-16
TEL:03-3293-7727
URL: http://www.shimokura-secondhands.com/
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