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お茶の水だ。
今日も、俺は“高いギター”を探し回る。
もちろん…………アポなどしない。おのれの嗅覚だけが頼りだ。
とはいえ前回、訪れたお店「お茶の水シモクラセカンドハンズ part 2」。
「part 2」がオッケーだったんだから、
今回、系列店の「part 1」もオッケーに違いない……
と考えた俺を、安易だと笑いたければ笑うがいい。
アポなしってのも…………………結構キツいんだぜ。
そもそも、
全国のシモクラセカンドハンズばかりを訪れるコーナーではないのだが、
奇しくも二週続けて系列店になってしまったのは、どうかご愛嬌。
ともかく、俺はこの店に一番高いギターを弾くためやってきたのであった。

もちろん俺は、今回も挑戦的な態度で睨みつけてやった。
所狭しと、店内に並ぶギター……ギター、ギター!!
果たして。
そんな俺の眼前にひとりの男が立ちふさがる。
俺の殺気&邪気に気づいたか、
名は、安仲(あんなか)明………………このお店の店長さん。
俺よりも少し年上の、
人の良さそうな落ち着いたかんじの男性だ。
果たして俺は、そいつをじろりと睨みつけ、…………言ってやった。


男は語り出した……。
安仲 「ジャズギターですね」
―― ジャズギターか……。やっぱり高いもんだな。
安仲 「いえいえ、ジャズギターとしては、
決して高級ってお値段じゃないんですよ。
高級バージョンなんて、もっともっとありますからね」
―― へぇ……。
安仲 「これはね…………。
とにかく使いやすいんです。
弾きやすいんです。
身体の小さな日本人でも弾きやすいんです」
―― 弾きやすい?
安仲 「そう。そもそもジャズギターは大きいんですよ。
この175はね、ワイドがね、普通のより一回りちいさいんですよ。
それに……持ってみてください」
―― (手に取る俺……) 軽い。
安仲 「ね、軽いでしょ。弾いてみればわかりますよ。
ギターはね、触ってみないとわからないモノですから……」
……弾いてみればわかる。
あぁ、実にギターを知り尽くした安仲の、愛ある言葉。
俺に抱かれた175を愛おしそうに見つめる。
俺はこの瞬間を逃さなかった。
果たして、
俺には……言わねばならない台詞があったから。
そして俺はそのために、この店に来たのだから。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【69万8千円のスモーク・オン・ザ・ウォーター】
俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」/ ディープ・パープル
…………当然だ。
ちなみに追記しておこう。
俺のこのプレイのためにだけ、わざわざ使用許可申請をJASRACに出してある。そして了解をもらってある。
つまりだ。JASRAC了解済みの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」なのだよ。
69万8千円のジャジーな音色を…………聴いて欲しい。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
最後に、俺は安仲に尋ねた。
「ところで、安ちゃん。あんたがはじめてガツーンときた曲は?」
安仲は答えた。
「うーんと、やっぱりウエストコーストですかね、
イーグルスかな。ホテルカリフォルニア」
…………ジャズじゃないじゃないか。
だけどそいつは、実にいい曲だ。
果たして、俺の旅は…………まだまだ続く。

取材協力:
御茶ノ水 シモクラセカンドハンズPART1
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-1-33
TEL:03-3295-4611
URL: http://www.shimokura-secondhands.com/
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