I was born , by the river, in this town “お茶の水”。
I came back to this town “お茶の水”。
そして、俺は今日……歴史の重みを知った。
嘘じゃない。
俺は今日……新たな“高み”にのぼったんだ。
まさに…………“ケタ違い”の奇跡 だった。
坂を下ったあたりにある、小さなビルの5階。
狭く急な階段を登り切ると……その店はあった。
店に入る。
いつものように、俺はあくまでも挑戦的な態度で、
睨みつけてやった。
アットホームな店内の雰囲気が、心地よかった……。
果たして。
俺の眼前に立ちふさがるひとりの男。
彼の名は、
児玉徹…………優しげな笑顔がとても素敵な男だった。
俺はそんな児玉に対して、果敢にもアタックを試みた。
…………児玉への、アタックチャンス。
男は語り出した……。
児玉 「こちらになりますね」
―― 待て。冷静に言うな。これ…………乗用車より高いじゃないか。
児玉 「お見事! それではなんでこんなに高いか説明しましょう。
この色……
レイクプラシッドブルーというんですがね、
1964年当時、
色のついたモデルなんてカスタムオーダーじゃなきゃ
作れなかったワケです」
―― 確かに、これ…………変な青だ。(思わず身を乗り出す、俺)
児玉 「おっと、青、お立ちになられた。
…………ちなみに、
いわゆる太陽に焼かれた様な色、
サン・バーストっていわれるのが、
元々の色なんです」
―― ほぉ
児玉 「当時、お金と、時間のある人が、
カスタムして作ったんでしょうね。
見てもらえばわかるけど、
今じゃ、塗装が剥げちゃってボロボロでしょ。
興味のない人にとっては、
まったく価値のないモノかもしれないですね(笑)」
―― 確かに、俺だったら、捨てちゃっているかも……。
児玉「うーん、残念。
いや、でもそうですよね。
ギターって、
高ければいいってもんでも、ないとは思うんです。
でも、こういうヴィンテージ・ギターって、
色んな人の手に渡ってめぐりめぐって出会うものなんです。
色んな思い出を重ねた歴史の……値段なのかもしれませんね」
………………重ねた歴史。
Lake Placid Blue、まさに「穏やかな湖面の青」が、
御歳43才になる、このギターの「歴史」を感じさせた。
そして俺は想った。
俺よりも年上のこのギターの、
その歴史の一ページに、俺も加わりたい、と。
俺には……言わねばならない台詞があった。
なぜなら、俺はそのために、この店に来たのだから。
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【480万円のスモーク・オン・ザ・ウォーター】
俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
…………ハードロックバンドであるディープパープルが、
1972年に発表した、歴史ある「曲」だ。
おなじみの追記を。
「平成のリッチー・ブラックモア」と自称する、
俺のプレイのために、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRAC了解済み……JASRACお墨付きの、
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
480万円の音色を…………聴いて欲しい。乗用車よりも高い音色を。
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最後に、俺は児玉に尋ねた。
「ところで、あんたがはじめてガツーンときた曲は?」
児玉は拳を握りしめながら答えた。
「レッドツエッペリンの“グッド・タイムス バッド・タイムス”です」
ツエッペリン!!
そいつは、実にいい曲だ。
うん、実にイイ。お見事!
果たして、俺の旅は…………まだまだ続く。
取材協力:
ESP Old Guitar Garage
東京都千代田区神田駿河台1−8ビッグボス5F
TEL: 03-3233-3346
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