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この店で一番高いギターを弾かせてくれ!
値段の高いギターが、必ずしもいいギターだなんて思っちゃいない。
だけど、ロック少年だった俺は、昔から知りたかった。
一体この世で一番高いギターって、どんなギターなんだろう?……って。
俺の夢……。
それは、いつの日か、そいつをこの手で抱きしめたい……って夢だった。
俺の名はヴィン★セント。ギターを愛する風来坊。
果たして、当コーナーは一番高いギターを探し求める男の、いたってまじめなギター紹介コーナーなのである。

 
vol.6 御茶ノ水 クロサワ楽器 Dr.Sound

「夏の変形ギター祭り」〜 dedicate  to  Dimebag Darrell 〜

東に高いストラトがあれば、行って弾き倒し、
西に高いレスポールがあれば、行って愛で尽くす。
南に、北に……
俺は俺の欲望のまま、「高い」ギターを求めさすらう。
そんな日々を過ごすうちに、
俺の中に、微かな、ほんの微かな疑問が生じてきた。
果たして…………「高いギター」とはなんなのか?……という素朴な疑問。
それは単純に値段のこと? クォリティのこと?

俺は考えた。
そもそも「高い」って何が高いんだ?
人が抱く楽器への愛の絶対量が「高さ」を決めるというのだろうか?
はたまた資本主義における共同幻想ゆえの所詮「幻」なのか?

……………………あぁ、わからない。
だいたい難しい話はよくわからないよ。

俺にわかることはただひとつ。
世の中には、「高いギター」がまだまだいっぱいあるってことだ。
様々な種類のギターを触り尽くしたその果てに、
いつか、俺の求める「答え」が見つかるのかもしれない。

ということで。
そろそろ…………君らもアレを見たくないかい?
そう…………もちろん、変形ギターさ。
暑い夏にこそ、
鉄分たっぷりの変形ギターを拝みたくないかい。
いやはや、俺はソイツに触りたくてこの店にやってきたんだ。


御茶ノ水 クロサワ楽器Dr.Sound


店に入る。

俺は、あくまでも挑戦的な態度で店内を睨みつけた。
立ちふさがるひとりの男。

彼の名は、田中学。
……なんなんだよ、
俺に匹敵するぐらいの「イイ男っぷり」じゃないか。
背も高いし、男気溢れた顔立ちだし……。
俺は、そいつに…………いつも以上に挑戦的な態度で
言ってやったのだ。


おい。兄ちゃんよ。いますぐこの店で一番高いギターを持ってこい……


DEAN USA REBEL RAZORBACK

DEAN USA REBEL RAZORBACK 価格 84万円


田中 「ダイムバッグ・ダレルが生前にデザインしていた
    RAZORBACKシリーズです。
    これ、塗装が職人さんによる手描きなんですよ」


―― へー、手描き! すごく細かい仕事だな。
   しかし…………ダイムバッグ・ダレル。元パンテラのギタリスト。
   ダレルがデザインしたギターなのか。
   あぁ、2004年12月8日。俺はその日を忘れない。
   奇しくもジョンレノンの殺された同じ日付に、
   彼もまた拳銃で撃たれ、…………殺されたんだ。

田中 「えぇ……。ショックでしたね。
    ……………………そうだ。いいものをお見せしましょう」


――えっ?

田中 「この写真を見て下さい。生前、彼が実際にデザインしていたときの
    写真なんですがね……日付のところを見て下さい。
    2004.11.20って書いてあるでしょ。
    まさに、殺されるほんの数週間前の写真なんです」


生前のダレルの写真

―― ホントだ。……ってことは、
   彼は、このモデルの完成を待たずして……。
   そうか、なんてこった。

田中 「もう一本紹介していいですか?」

―― えっ? もう一本って。
   何言ってんだよ。ダ、ダメだよ、
   だって、あのー、「一番高い」だから、あの……

田中 「(戸惑う俺を無視し)これです。
    ダレルが生前に使っていたモデルです。
    ちなみに、これはレッドベベルと言いまして縁が赤いでしょ」


DEAN USA RAZORBACK V

DEAN USA RAZORBACK V 価格 60万9千円

―― あっ! 紹介しちゃった! 人の話を聞かない男だ!
   …………んー。だがしかし、紹介しちゃったもんはしょーがない。
   今回は拡大版といってみるか。

田中 「えっ? 拡大版?」

驚く田中を尻目に、俺はとある決意を固めていた。
正直、田中の「イイ男っぷり」は素敵だった。
と同時に、俺自身、いくばくかの対抗意識が、そのとき生まれていた。
そして、ダレルが産み出した、新旧二本のギターを前にして、
俺は決意したんだ。

………………対決だ。二本のダレル・ギターの饗宴だ!

俺は…………田中@Dr.Soundとの対決を欲す。 ギターバトルなのだ!

俺には……言わねばならない台詞があった。
なぜなら、俺はそのために、この店に来たのだから。
しかし今回、俺はソコに一言付け足した。


オッケー、いますぐ俺に、こいつを弾かせてくれ。そして…………お前も弾いてみろよ


DEAN USA REBEL RAZORBACK   DEAN USA RAZORBACK V


【84万円のスモーク・オン・ザ・ウォーター】
VS
【60万9千円の田中のプレイ】

対決だ。俺 VS 田中のギター対決だ。

俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」

かつてダイムバッグ・ダレルはリッチー・ブラックモアの
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をマスターすることで、
本格的にギターの世界に足を踏み入れたという。

おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「俺」。
俺のプレイのために、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRACお墨付きの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
84万円の音色を…………聴いて欲しい。ダレルに想いを馳せながら。

そして!
今回はそれだけじゃない。
お茶の水のギターショップ、「Dr.Sound」の店員「田中」によるプレイも
紹介しよう。
俺と田中のギター対決。勝ち負けは…………見た人が決めてくれ。
俺の「勝ち」は揺るがないだろうが…………な。




【赤コーナー 平成のリッチー・ブラックモア ヴィンセント】



【青コーナー Dr.Soundでダレルの魂を継いだ男 田中学】


田中、今日はこのへんにしといてやる。
まぁ悔しがるな。だって俺は「平成のリッチー」なのだから。

最後に、俺は田中に尋ねた。

「ところで、あんたがはじめてガツーンときたミュージシャンは?」

田中は言った。

田中 「ジミヘンが…………地味に好きです。リトルウイングとか。」

ギタープレイはまずまずだったが、ダジャレセンスはまだまだのようだ。
しかし、ジミヘン。
うん。
そいつは…………実にいい。


果たして、俺の旅は…………まだまだ続く。




俺(と田中)が抱いたギターの現在までの総額 8884,000円也




取材協力:
クロサワ楽器 Dr.Sound
東京都千代田区神田小川町3-22
TEL: 03-3292-9251
URL: http://www.kurosawagakki.com/sh_dr/index.html


 






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 「 この店で一番高いギターを弾かせてくれ!」一覧

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