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この店で一番高いギターを弾かせてくれ!
値段の高いギターが、必ずしもいいギターだなんて思っちゃいない。
だけど、ロック少年だった俺は、昔から知りたかった。
一体この世で一番高いギターって、どんなギターなんだろう?……って。
俺の夢……。
それは、いつの日か、そいつをこの手で抱きしめたい……って夢だった。
俺の名はヴィン★セント。ギターを愛する風来坊。
果たして、当コーナーは一番高いギターを探し求める男の、いたってまじめなギター紹介コーナーなのである。

 
vol.8 新大久保 HYPER GUITARS

その昔、クロスロードで悪魔と出会い、魂を交換した奴がいたっけ?
果たして、俺はこれまでこの腕で、
何人もの“高いギター”を抱いてきた。
“彼女たち”は、危険な香りで俺に取り憑く。
そして“彼女たち”は、俺に至福を与える代わり、俺の魂を喰らい続ける。

……天使か? それとも悪魔か?

どっちでもいい。
どっちだってかまわない。
俺は今日も、“高いギター”を求めさすらうだけだから。

果たして、この世には“魔物”が宿るギターが存在すると言う。
例えば、
ギブソンのレスポールというギターがソレだ。
有名にしたのはエリック・クラプトン。
なかでも1958年、1959年製はマニアによってケタ違いの値段で取引されていると聞く。
ゲイリー・ムーア、エドワード・ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・ルカサー、高見沢 俊彦、高崎晃、PATAなど、
そうそうたるメンツが所有しているとも聞く。
しかしながら…………だ。
そんな“幻”のようなギターの“存在”を俺は端から疑っていた。
だって、“魔物”なんてものは、そもそも空想の存在だからな。
都市伝説ってやつさ。そうに決まっている。
……そう、思っていた。

けれども…………………………“魔物”はホントに存在したんだ。

新大久保のギターショップ『ハイパーギターズ』。
そこで俺はそいつに出会った。


新大久保 ハイパーギターズ


いつものように店内を挑戦的な態度で睨みつける俺。
そんな俺の眼前に立ちふさがるひとりの男。
長島英樹………………この店のマネージャー。
Tシャツ姿が実に似あう男。
そんなこの店のジャーマネに、俺は言ってやった。

 いますぐこの店で一番高いギターを持ってこい……

長島は、店の奥に消え、そして一本のギターを持ち戻ってきた。

ここで一応明記させていただく。
実は、これは普通に行っても見せてもらえない。
何度も通い続け、信頼関係が築かれてはじめて、
見ることの出来る逸品と思っていただきたい。
それが…………コチラ↓です。


ギブソン レスポール スタンダード 1959年製 価格 3,500万円

ギブソン レスポール スタンダード 1959年製 価格 3,500万円


長島「意外と無いんですよ。今は、ほとんどアメリカに流れちゃってます。
   でも、アメリカだともっと高いんじゃないですかね。最近は、ほとんど見られないですね」


―― おい、ちょっと待ってくれよ。冗談はよし子ちゃん。ゼロがひとつ多いようだが …?

長島「いえいえ、この値段なんですよ、ホントに。
   いやぁ、実際、凄いですよね」


―― えっ! ホントに? な、な、なんで、こんなに高いの?

長島「58年から60年に生産されたレスポール・スタンダード。
   その台数はたったの1500本なんですね。
   現存するものといったら、さらに少ないし、
   程度の良さを考えたら、ますます少ない。
   まずは、その希少性でしょうね……」


―― な、なるほど。

長島「それと……、やっぱり楽器としてはマーシャルのアンプとの、
   組み合わせの中で、コレの音が好きな人がいるワケなんです」


―― そ、それは?

長島「いわゆる“ビーノアルバム”と呼ばれるアルバムで、
   クラプトンが魅せたレスポールとマーシャルの組み合わせ。
   “極上のサウンド”と言われる奇跡に、人々は虜になったわけです」


―― そうか。ところで、話は代わるけど、この店に…………
    マーシャルのアンプってのは、あるのかい?

長島「は? ……あ、はい。ありますけど。それが……?」

……………果たして、俺の目の前には、今、
“極上のサウンド”を生み出せる奇跡の組み合わせがあった。
59年製のレスポールとマーシャルのアンプ。
俺は悪魔と契約する。
さぁ、レスポールよ。
お前は……この俺の魂を喰らうかい?
代わりに、俺にお前の“極上サウンド”を与えてほしい…………。

俺には……言わねばならない台詞があった。
なぜなら、俺はそのために、この店に来たのだから。


オッケー、言いたいコトは済んだかい? だったら……いますぐ俺に、こいつを弾かせてくれ


ギブソン レスポール スタンダード 1959年製

【3,500万円のスモーク・オン・ザ・ウォーター】

俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
…………59年製レスポールとマーシャルの組み合わせで弾く。

おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「三鷹のエリック・クラプトン」=「俺」。
俺のプレイのために、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRACお墨付きの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
3,500万円の“極上サウンド”を…………聴いて欲しい。
クラプトンによって、
以降、ブルースロック、ハードロックには不可欠の組み合わせとなった
両者が生み出す、伝説のサウンドを感じて欲しい。




3,500万円…………俺は都内のマンションひとつぶんくらいを抱いた。
3,500万円…………俺は4LDKくらいの、郊外の庭付き一戸建てを抱いた。
3,500万円…………俺は新車のランボルギーニ・ムルシェラゴ一台を抱いた。
3,500万円…………俺は100円ショップで35万個の商品を抱いた。


そんな勘定だった。
果たして俺はクロスロードの悪魔と、契約できたのであろうか?

俺は長島に聞いた。

―― ところであんたがガツーンと来た曲は?

長島「Charさんのスモーキーです」

―― うん、そいつはいい。実にいい。
   ところで、最後に……もうひとつ聞きたいことがある。
   お前にとってギターとはなんだ?


長島「それは……完全に、ボクの人生です」


果たして、俺の旅は…………まだまだ続く。




俺が抱いたギターの現在までの総額 45,564,000円也



取材協力:
HYPER GUITARS
東京都新宿区百人町1-11-23 B1F
TEL: 03-5386-4910
URL: http://www.hyperguitars.com/


 






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