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ルシアーと呼ばれる人々がいる。
ルシアー…………、
いわゆる「弦楽器製作家」のことだ。
“大手メーカー”に属さぬ個人の製作家が、
とことんまでこだわって作るギターを、
“ルシアーもの”なんて、呼ぶこともある。
果たして、
ギターの名称からして作者の名を冠しているのも特徴だ。
その独特のたたずまいは、孤高の美しさに満ちている。
細かな部分にまで行き届いたルシアーの想い。
……まさに“プレミアム”な逸品。
そんな“ルシアーもの”が並ぶブースを、俺は見つけた。
大阪からやってきたドルフィンギターズ。
ずらりと展示されれたアコースティックギターの数々を睨みつけていると、
俺の眼前にひとりの男が立ちふさがった。
男の名は、武田雅史。
俺は言った。
武田「MICHAEL BASHKIN……マイケル・バシュキンさんの作ったギターです。
実はこれ、アメリカの“ヒルズバーグ・ギターフェスティバル”という、
アコースティックギターのショウに出展された逸品なんです。
個人作家が集まる有名なショウなんですよ」
―― へー。興味深いショウだ。行ってみたぁい。
なんでもアメリカとかだと“ギターショウ”も、
毎月どこかで開かれているほど活発にだって聞くな。
ん? ところで、このギター、なんだかパッと見、
普通のギターとどこか雰囲気が違う気が……
武田「(笑)はい。
よーく見てください。
実はフレットの打ち方が特徴的なんです。
ファンフレット……と言いますが、
上と下の長さが違うんです。
つまり、6弦が長く、1弦が短い……と」
―― わお! ホントだ!
すげー。
武田「オープンチューニングを多用するギタリストに、
手にしてもらいたい一本ですね。
個人作家の作るギターは魅力的ですよ。
一本一本、作家によるこだわりが詰まってますから。
どうやっても、
ひとり、年間12本くらいしか作れないわけです。
そういう意味からも、こうした“ルシアーもの”は、
それぞれが特徴的で面白いし、
非常に“プレミアム”なギターと言えるでしょうね」
…………年間12本。
いやはや、それを考えれば、
100万円前後の値段は、決して“高く”ない。
……いや、むしろ安いくらいだろう。
大手メーカーに属さぬ“個人作家”の生き様を、
俺はこのギターから感じ取った。
繊細で……
緻密で……
そしてある意味剛直なる“存在感”。
俺は、このギターに…………惚れた。
マイケルに…………惚れた。
…………あぁ、しかし惚れてばかりはいられない。
なぜなら俺には言わねばならない台詞があったから。
そのために俺はここに来たのだから。

俺は弾く。このブースで一番高いギターを弾く。
曲はもちろん
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
…………衆人環視のもと、実に嫌な汗をかきながら弾く。
おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「三鷹のリッチー」=「俺」。
そんな俺のプレイのためだけに、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRACお墨付きの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
105万円のサウンドを……
“ルシアー”が作った“ファンフレット”ならではの、
こだわりの調べを、お聞きください。
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―― ところで、大阪なんだよね、お店は……。
武田「ええ。トラックで来ましたよ(笑)
これだけのギターを運ぶのは気を使いますね。
まぁ、他のお店も同じだと思いますが……(笑)
うちはね、アコースティック専門店なんです。
こうした個人作家さんと、直接契約しているお店です。
是非、大阪にいらしたときはおいでください」
―― オッケー。ありがとう。
果たして最後に
俺は武田に聞いた。
―― ところであんたがガツーンときたミュージシャンを教えてくれ
武田「マイケル・ヘッジスが好きですね」
―― おぉ。アコースティックギターの神様。
“マジックだっ!”と言われるほどの、
超人的テクニックの持ち主じゃないか。
映画『植村直己物語』にも曲が使われてたね。
うん、実にいい!
さて……、
果たして……、
今回は「ルシアー」って言葉と、
「ファンフレット」って言葉を覚えました。
俺は………………またひとつお利口になったのだった。
大阪からの使者……
ドルフィンギターズ。
俺は決意した。
いつか必ず…………実際に、
おまえの「店」で一番高いギターを弾いてやる。
新幹線で、行ってやる! ついでに本場の“たこやき”食ってみたい。
さぁ、
震えて待つがいい。
果たして
俺の旅はまだまだ続く…………
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