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お茶の水……その地に立てば、
まるで“ホーム”に帰ってきたかのような、
安堵感にに包まれる。
果たして、前回、
神田 ゼマティスミュージアムから、
紹介の電話をかけてもらった店。
行っていいかな?
…………いいとも……。
まさに、ギターからギターに繋ぐ、テレフォンショッキング。
その名も…………“楽器センター 東京”
果たして、万華鏡のように、多種多様のギターが俺を待っていた。
実に豊富な種類のギターたちに、圧倒される店内。
そこに、俺を待つひとりの男がいた。
旧知の仲の、神田ゼマティスミュージアム・飯泉が、
“面白いおじさん”と称する男。
そいつの名は……永田力。
俺は言った。
永田「いいギターですよ。
さわってもらうとねぇ、……わかりますよ。
なるへそ……ってかんじですよ。
“なるほど”じゃないですよ、なる……“へそ”です」
―― え? あっ……はい。…………なるへそ。
永田「で、何か弾かれるんでしたっけ?」
―― いやー(笑)、さすがに話がはやい。
曲はもちろん、“スモーク・オン・ザ・ウォーター”なんだけど
まさに
“なるへそ”と唸らせる、
俺のテクニックを、あんたに披露したいんだ。
永田「……………………なるへそ。
ゼマティスミュージアムの飯泉さんからは聞いてますよ。
いやぁ、だけど、
このギターでやるには、ジャンル違いでしたかね(笑)。
とはいえ、
“楽器”なんですから、何をやったっていいんです。
どう弾いたっていいんですよ。
呼んで字の如く……“楽しく”あるのが一番大切なんですからね。
プロは、さすがに下手じゃだめだけど、
アマチュアは下手でいいんだ。楽しければ……。
もちろん、あなたの弾く“スモーク・オン・ザ・ウォーター”は、
あなたにとって“楽しい”ことなんですよね?」
―― もちろん。
永田「だったら、最高じゃないですか。
…………いやね、
うちは、基本的に、220万円までは、
自由に触ってもらっているんですよ。(笑)
やっぱり、高いギターっていうのは、いろいろあるけど、
触って、はじめて“なるへそ”って
感じられるものだと思うんですね」
―― ほぉ、……まさに、なるへそ。
永田「必ずしも、高ければいいってもんだけじゃないけど、
たとえば、ここに90万円のギターがあるとしましょう。
仮に……ですよ。
30万円のギター3本の満足度に比べたらどーか?
ってことなんです」
―― ふむふむ。
永田「ちなみに、こちらのグレッチは、
世界限定20本のレリックです。
ダキストさんの弟子で、
Benedettoさんの元にいた、
スティーブン・スターンさんが作ったものですね。
いやー、ほんとにいいギターですよ。
“なるへそ”ですよ」
おぉ……………ダキストさん。
知ってるよ……いや、もちろん“知り合い”ってわけじゃないけど。
触ったこともあるよ。コチラ。
……いやはや、果たして、
“触ってこそのギター”“楽しんでこその楽器”……と、
男の確固たる信念は、俺の心を震わせた。
果たして……。
俺には言わねばならない言葉があった。
なぜなら、そのためにこの店にきたのだから……。

俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
…………“なるほど”なんかじゃない。
“なるへそ”な世界を感じたいんだ。
まさに……それは、“なるへそ”ザ・ワールド。
おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「三鷹のリッチー」=「俺」。
そんな俺のプレイのためだけに、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRACお墨付きの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
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永田「どう? いいでしょ? なるへそでしょ?」
―― いやー、実になるへそだ。なる“ほど”じゃないよ。
これは……“へそ”だよ。
永田「(笑)うちのお店はね、他にも“なるへそ”なギターが、
たくさんありますよ。たとえばね、
ゼマティスでしょ。グレコ、グレッチね、タルボ、ヴィジェ……
“美女”じゃないですよ。ヴィジェね。フランス製でとても個性的です。
それからビグスビー、リピ・ギター、ラリヴィー、シーガル、
バビッツね、ラ・パトリエ、マニュエル・ロドリゲス……と。
他にもいろいろあるんですけど(笑)」
―― むむ……。なんだか、すごいいっぱいあることだけは、わかった。
さらに途中、さりげなくダジャレを挟んだのも、気づいた……よ。
永田 「コンセプトは、
“ないものはない! あるものは……あるようにしたい(笑)”……と。
そんなお店なんです。うちは……」
―― ……なるへそ。
永田「その代わり……って言っちゃなんですけど、
ギブソンとかは無いんですよ。
なぜなら他のお店にあるから」
―― そっか。だけど、お茶の水はホント、多いよね、楽器屋さん。
お茶の水って街、どう?
永田「うちはね、お茶の水にあるお店として、
ギター情報の案内はしたいんですよ。
自分のお店だけじゃなくて、
他のお店も紹介したいんです。
つまり……ね。
お茶の水って街で、楽器屋をやっているわけじゃないですか。
谷口楽器さんとか、シモクラさんとか、クロサワさん、
イシバシさん……と、ご近所にもたくさんありますよね。
それぞれに、素晴らしい点があってね。
お客さんによっては、うちで買うよりも、
他のお店のほうが合う場合もあるわけです。それは、案内したいです。
楽器屋さんが集まっているのはいいことだと思いますよ。
お客さんにとってはすごくいい街だと思います」
―― ほぉ。じゃあ他のお店も仲間……ってかんじなのかしらん?
永田「ええ。
若い奴等は、他のお店の若い子同士で仲よかったり、
横のつながりはあるみたいですな。
新宿ではなくて……
渋谷でもなくて……、
この街で、一緒にやっているわけですから、
“仲間”ってかんじです。
お茶の水の楽器屋さんには、
やっぱりどこも、互いにそういう意識があるんじゃないかな」
いやはや、まさに、なるへそな話だった。
お茶の水という特有の街に息づく、健全な“仲間意識”。
音楽という一点で繋がる、素敵な関係に、
俺は、柄にもなく、暖かいキモチになっていた……。
最後に俺は永田に聞いた。
―― ところであんたがはじめてガツンときた曲を教えてくれるかい?
永田「うーん…………それこそ、
“スモーク・オン・ザ・ウォーター”かな?
あれは、忘れもしない高校三年ですよ。
当時はね、
かぐや姫、拓郎……と、フォーク全盛でしたね。
ある日、
書道教室で、レコードをかけたんです。
まぁ、なんで書道教室かって話になると、長くなるんですが(笑)
…………衝撃がきましたね。
いわゆるエレクトリックなものに対する衝撃。
エレクトリックショックですよ(笑)」
―― うーん…………まさに、
なるへそだ。実に……いい! そして、あんたの話は面白いよ。
必ずまた……来るぜ。
果たして
俺の旅は…………まだまだ続く。
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