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記録的な春一番が、
列島に吹き荒れたある日のこと。俺の元に一本の電話があった。
“高いギター”を求め、さすらい続ける旅路でおきた、はじめての経験。
果たして、それは……、“田中”と名乗る男からの、
“取材依頼”…………だった。
いやはや、まったく、この俺に“依頼”が来るとは。
“拒否”、 “門前払い”といったコトバにこそ、
慣れ親しんでいた身としては、正直驚いた。そして、素直に喜んだ。
旅をはじめて、実に、八ヶ月近く。
抱いた総額も8千万円に届きそうになってはいたけれど、
いまだかつて、“お呼ばれ”したことなど一度も無かったわけだから。
それが……、
「うちの店で、一番高いギターを弾いてみないか?」
……なんて台詞。
まさか、現実に聞ける日が来るとは思ってもいなかった。
あぁ……。継続は力。孤独な旅で、手を差し伸べてくれた“田中”よ。
…………ありがとう。
しかし、電話の向こうの田中は、浮かれる俺にこう言い放った。
田中「対決のコーナーですよね?」
………………………………
………………………………え? 対決?
……いやいや、こちらはニフティのコーナーですよ。
ヤフーとか、ライブドアとか、他所様と間違ってませんか?
ともかく、
疑問を抱きながらも、
俺はその店に向ったんだ。
俺の前に、電話の主は現れた。
そいつの名は……田中学。
果たして、俺は、そいつを知っていた。
そうだ。
誰あろう、
今から半年前に、クロサワ楽器「Dr.sound」で出会ったアイツだった。
“変形ギター祭り”と銘打った俺とのギターバトルに
……………………“敗れた”アイツだった。
宿敵…………田中学。
コチラ。
俺は言った。
田中「ウォールナット材をTOPに使用したものです。
ほとんど手に入らないような材なんで、
実に貴重なんです。
B’zの松本さんや、ジョニー・ウィンタースさんのギター材を、
セレクトしたエド・ウィルソンさんによる逸品です」
―― あっ……はい。
……って、ちょっと待ってくれよ。
田中……。
あんた、前は違うお店だったじゃない。
田中「ええ(笑)。
今回、クロサワ楽器として、新しくお店を出したんですよ。
テーマとしては、
まったく新しいスタイルのお店なんです。
ギブソンとエピフォンの、“セレクトショップ”を目指しています
1階から4階までありまして、ギブソンだらけ(笑)。
ちなみに、ここ2階はレスポール・フロアとなっています」
―― ほぉほぉ。
田中「在庫は常時、1000本程度はありますね。
今年の頭にも、三日間ナッシュビルの
ギブソン社に行ってきまして、
工場で直接、ボクが選んで買い付けてきました。
いいのだけを、ストックしたいんで、
ホントにいいいものだけを選んできました」
―― それはすごい。しかし、たくさんあるね、レスポール。
こんだけ並ぶと、よくわかるけど、
木目が、ホント違うんだね。
田中「ええ。メープルの半分をザクッと切って、貼るわけです。
ですから、同じものはないんです。
多種多様の木目。これが、一つの魅力ですね。
ちなみに、レスポールを半分に切ると、こんな感じ↓なんですよ」
―― …………あのさ、すごい基本的な質問で恥ずかしいんだけど、
旧知の仲のあんただからこそ、聞くけどさ、
そもそも、この木目ってどう見ればいいの? (苦笑)
正直、よくわかんないんだよ。今さら、聞くのもアレなんだけど……。
木目で人気も違うんでしょ。
田中「はい(笑)。じゃあ、せっかくなんで、
俗に人気のあると言われるポイントをご説明しましょう。
ホントに、ザックリとですが、基本講座です(笑)
こちらをご覧ください。
#1 【ワイドフレーム】
木目が太い。近年はあまり見かけなくなったモノです。
#2 【細かいトラ目】
文字通り、木目が細くキレイに出ているものです。
#3 【バースト】
当時のモノに近いです。ヴィンテージ風です。
本来の魅力だと、ギブソンも言ってます。
#4 【ハードロックメイプル】
立て目が特徴です。あと、音が違います。
ちなみに、
#1〜#3はソフトメイプルと言います。
#4は、材が固いのでビリビリ響くような音なんです。
これは聴いてもらうとわかります。
今回、ボクはこれを弾こうかと思ってます」
―― なるほど、わかりやすい。勉強になったよ。
いろいろあるんだねー。……って、おい! 田中くん!
君ぃ! またまた弾くつもりかよ。
しょうがないなー。もう“準レギュラー”だよ、あんた。
久しぶりに、…………対決といきますかぁ!(笑)
田中 「はい(笑)」
果たして……。
俺たちは、互いのギブソン・レスポールを手にした。
ライバル…………。
お前がいるから、俺がいる。
拳を交えてこそ、わかりあえる関係だから、
俺たちは……闘うのだった。
“強敵”と書いて、“とも”と読む。
ジョーと、力石。
番場と、ウルフ・チーフ。
そして、田中と……俺。
さぁ、俺には言わねばならない台詞があった。
なぜなら、そのためにこの店にきたのだから……。

対決だ。
俺 VS 田中のギター対決だ。
実に半年ぶりの対決だ。
俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「俺」。
俺のプレイのために、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRACお墨付きの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。
さらに、
G-club田中のプレイ。
勝ち負けは…………見た人が決めてくれ。
半年経ったところで、
俺の「勝ち」は揺るがないだろうが…………な。
【赤コーナー 平成のリッチー ヴィン★セント】
【青コーナー クロサワ楽器所属準レギュラー 田中学】
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―― さて、この前、聞いちゃったんだけどさ、
最後に、あんたがガツーンときたミュージシャンを教えてくれるかい?
田中「ジョン・レノンのloveです」
―― なるほど……え? 前は確か、ジミヘンって言ってなかったけ?
田中 「いや、お店も変ると変るんです(笑)
って、ホントに、ジョンレノン好きなんですヨ。
亡くなった場所に行って、ギターを掻き鳴らしたこともありました。
ちなみに、うちの奥さんヨーコって言うんですけど、
通りすがりのアメリカ人は、爆笑してました(笑)。
そうそう、
ここのお店も、実は奇しくも、去年の12月8日、
ジョンレノンの命日にオープンしたんですよ」
―― なるほど。
いやー、久しぶりの再会。楽しかったよ。それじゃ……また。
田中 「いやいや、待ってくださいよ。ダメダメ帰っちゃ。
ここ2階なんですけど、
3階もあるんですよ。3階も紹介してってくださいよ。
もう、3階のスタッフには言ってあるから……」
―― えー。おい、勝手に段取りつけちゃったのぉ?
それじゃ、まるで癒着してるみたいじゃないか。
しかし…………、優しくされちゃうと、いくらでも癒着しちゃう体質も、
俺の自負するところなんだよね(笑)。
じゃ、来週も、G-club特集といきますか!
田中 「よろしくです。
…………ところで、
考えたら2度目の来店なんで、
そろそろ買っていってもらえませんかね、
ギター…………」
果たして俺は、逃げるように3階へと向った。
次週も、たっぷりと、
ギブソンを味わい尽くす……請うご期待。
果たして
俺の旅は…………まだまだ続く。
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