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MOOCS TOP > 特集 > ちょっとひと息 > この店で一番高いギターを弾かせてくれ! > vol.39


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この店で一番高いギターを弾かせてくれ!
値段の高いギターが、必ずしもいいギターだなんて思っちゃいない。
だけど、ロック少年だった俺は、昔から知りたかった。
一体この世で一番高いギターって、どんなギターなんだろう?……って。
俺の夢……。
それは、いつの日か、そいつをこの手で抱きしめたい……って夢だった。
俺の名はヴィン★セント。ギターを愛する風来坊。
果たして、当コーナーは一番高いギターを探し求める男の、いたってまじめなギター紹介コーナーなのである。

 
vol.39 上尾 サウンド・トラベル

偶然と必然が交差する。”運命”の出会い。
果たして、
東京―栃木―埼玉と、異なる都市、異なる店で、奇妙に繋がる点と線。
時代のあだ花、テスコギターを介して繰り広げられる”俺の物語”
エレキギターは電気羊の夢を見るのか?
それとも水上公園で君に会うのか?


――――――――――――――――――
最終話 上尾……旅の果てに。


実は、上尾という街は、俺にとって思い入れのある街だ。
とはいえ、
ここに延々と、その思い出の数々を書き連ねたとして、
多くの人々にとっては、迷惑なだけだろう。
恐らくは、”俺以外”、読み飛ばしたって構わない、
それは、ささやかで、ありきたりのものに他ならないのだから。

誰しも、自分の人生において、
自分だけ、興奮してびっくりしちゃう出来事ってあるものだ。
偶然と必然が交差し、もー、自分を中心に世界が回っちゃっているんじゃないかと思っちゃう瞬間。
上尾って街は、そんな想いを俺に与えてくれる。

それは、たとえば……
幼少期、イトコが隣町の北本に住んでいたから、
夏休み、”海代わり(!)”に上尾の水上公園によく連れてこられていたり、
はたまた
当コーナーを立ち上げから手伝ってくれているニフティのK君の、
実家があったり、
コロンボ的に言えば
”うちのかみさん”の実家があり、今でもちょくちょく来ていたり、
かと思えば、
駅前でブラブラしていたら、
いるはずもない三鷹に住む幼なじみに、偶然出くわしたり……と。

そう。
どれもこれもありきたりな出来事。
だけど
俺にとって、すべて意味を持つ出来事。
この街では………………そんな出来事が起こる。


上尾 サウンド・トラベル


そしてここ、上尾の楽器店、サウンドトラベル。
サウンド……
トラベル……。

その日、俺は栃木のお肉屋さん(前回参照)から、
車を飛ばして、そのまま上尾に訪れた。
まさに、
ギターという”サウンド”をめぐる、俺の”旅”。
その終着場所に、
ふさわしき店……それがサウンドトラベルだった。
果たして、俺の前に立ちふさがるひとりの男。
その名は……中込隆。

俺は言った。
  「おい……。この店で一番高いギターを持ってこい……」


combat TE-WARM

combat TE-WARM 価格 33万6千円


中込「コンバットギター……。オーダーメイド。
   コンバットというメーカーによるショップオーダーですね。
   このタイプは三本のみです」


――ほぉ。


中込「渡辺香津美さんですとか、野口五郎さんなどに愛用されています。
   日本のメーカーで、板橋区にあるんですが、
   非常にクォリティの高いギターを作ります」


――へぇ。形もおもしろいね。
   ところで、これって、フルアコ?

中込「フルアコを、ソリッド感覚で弾けるようにしたギターですね。
   アーチドトップです。」


combat TE-WARM


――それにしても……美しい。

中込「ボディは削り出しですね。ネックジョイントも美しいでしょ。
   極力一体化させてあります。うしろはマホガニー。
   若干、ボディは厚いけど、カットを面取りすることで、
   とても弾きやすいものにしてありますね。」


combat TE-WARM

――なるほど。

中込「それからピックアップをみてください。
   リンディ フレーリン P90タイプを使っているんですよ」


combat TE-WARM

――えっ? あっ……そう。……えーっと。
   実は、あんまり、そーゆーの詳しくないんだけど、何、それ?

中込「(笑)。50年代初期のテレキャスにも使われていたものを再現しています。
   ハンドメイドのピックアップと言えばリンディ フレーリン……
   というぐらいの存在ですね」




……いやはや、コンバットギター。
実に、大人の雰囲気漂う、上質なる逸品だ。
丁寧な作りと、音にこだわったその姿勢。
日本のメーカーならではの、細部に渡る繊細な心遣い。
実に素晴らしい。
大人のギターには、大人なる俺が……よく似合う。

果たして、
俺には言わねばならない台詞があった。
なぜなら、そのためにここに来たのだから……。


 「オッケー、言いたいコトは済んだかい? だったら……いますぐ俺に、こいつを弾かせてくれ」」

combat TE-WARM 価格 33万6千円


 33万6千円のスモーク・オン・ザ・ウォーター

俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
上尾の水上公園を想いながら……弾く。

おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「俺」
俺のプレイのために、使用許可申請をJASRACに出してある。
JASRACお墨付きの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」だ。


【平成のリッチー・ヴィン★セント】




――じゃあ、最後に、ガツーンときた一曲を。

中込「ベンチャーズ……、ビートルズかな?
   そこで、ガツーンときましたね。
   ビートがエイトビートで。
   今までそんなのなかったじゃない。
   テケテケテケテケ聴いたこと無い。そりゃもう、
   ドカーンと、いっちゃいましたね」


――なるほど。当時のエレキブームは凄かったんだね。

中込「社会現象でしたね。
   当時はいろんな日本のメーカーもエレキを作ってましたね。
   そうそう、この界隈にも工場があって、作っていたんですよ。
   菖蒲町だったかな」



――へー。このへんもそんな工場があったんだ。
   なんてメーカー?

中込「TEISCOっていうメーカーなんですけどね。
   今はもう、なくなって…………」


――えっ!? テ……テ、テスコォ!!!???

中込「テスコはね、不運だったんですよ。
   当時、エレキギターは不良の楽器というレッテルが貼られてね、
   今なら、逆に大問題だけど、
   県条例にひっかかったんですよ。
   PTAやらの、”エレキ不買運動”にひっかかって……。
   それで、つぶれたんじゃないかな?」


――なんと……。そんな過去が!

中込「だから、上尾とか、桶川あたりの人は、テスコギターを
   持っている人多いんじゃないかな?
   今でも押し入れに残っていたりするんじゃないですかね(笑)
   空前のエレキブームの名残ですよ」



――はあ。
   ホントに凄かったんだ。エレキブーム。

中込「だって、売れすぎちゃったんだもん。
   下駄屋さんでも、なんでも、木材を扱っているところは、
   木にマイクをつけて弦を張れば売れたんですよ。
   ホントに。
   エレキってのが、どんなのかわからないで作ってるんだから、
   そりゃもう、オリジナル性は凄かった。
   おもしろいギターがたくさんありましたよ」


――いやー、それにしても、
   まさかここでテスコの話が聞けるとは思わなかったよ。

中込「そうですか? 調べてみたら、おもしろいですよ、きっと」


偶然と必然は交差する。
テスコにはじまり、テスコに終わった、中野―栃木―埼玉の"旅"。
俺のビザールギターへの興味は、
燃え上がるばかりだった。
戦後日本を襲った空前のエレキブームと、その残滓。
約束しよう。
いつか、ビザールギターをめぐる日本の音楽シーンを、
きっと調べることを……。



というわけで、最後に報告をひとつ。
そんなビザールに魅せられた”俺”だが、
明日から、LAに行ってきます。
LAの……コロナという街に行ってきます。
そこには、とある工場があります。

その名も……フェンダーカスタムショップ。
この世で一番高いギター……かもしれないギターのある場所。
ついに、
俺は、ここまできたんだ。
俺は言う。マスタービルダーと言われる人間に言ってやる。
不遜な態度で言ってやる……。


「Let me play the most expensive guitar.」と。


ギターの神に感謝を。


ということで、次回は、現地からの軽い報告ですまさせてください。
LAのショップも回ってきます。
もちろん…………リアルに飛び込みです。

乞うご期待。

俺の旅はまだまだ続く。


 ヴィン★セント     俺が抱いたギターの、現在までの総額 90,036,600円也


■■■■■■■■■■■■

コノイチ 取材協力:
有限会社 サウンド・トラベル
埼玉県上尾市谷津 2-2-13
TEL: 048-775-1737
URL: http://soundtravel.net/


 






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 番外編 LA取材 (2008/07/10)

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